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百合カップリングはこちらに… 女の子同士じゃ何も生産しないんだぜ。とか、女の子同士の恋愛なんて興味すらないんだぜって人は即リターン
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(この時間、みんなは何をしてるのかしら…。) 布団に潜り込み、ふと考え込むせつな。 寒い季節は人肌恋しくなるもの。 それは時として人を… 【せっちゃん無双~悪戯天使】 やっぱり最初はラブよね。 いっつも一緒にいるのに、お風呂や寝る時だけ別なんて。 あ、トイレも………。 時計の針はもうすぐ日付変更線。静かな時間。 ラブはもう寝てしまったのかしら? 今頃素敵な夢でも見ていたり。 そう考えるだけで幸せになれるせつな。 その赤い瞳の先に見据えるものとは… (アカルン。ラブの夢の世界へ―――) 実現出来ればどんな世界が待っているのだろう。 困った顔をして私を見詰めるアカルンにそっと 「ごめんなさい」 私は廊下に出て、ラブの部屋の前で歩を止める。 ネームプレートにはクリスマスの可愛らしいデコレーションが。 (ラブもやっぱり女の子ね) ドアを開けて、ベッドの近くまでそっと足を運ぶ。 相変わらず寝相が悪く、やれやれとため息を付く。 「風邪引いちゃうわよ」 ゆっくりと掛け布団をラブの体へ戻そうとすると。 (あ……) 寝相が悪かったせいか、パジャマがずれ落ちてしまい下着が 露呈しているのに気付いてしまった。 息を飲む。 ゆっくりと私の鼓動は高くなっていく。 掛け布団に伸ばしていた自分の手の動きが止まってしまい…… (―――少しだけなら) ダンスで鍛えられているのか、ラブのお尻はキュッと引き締まっているように思えて。 間近で女の子の――――ラブのキュートな部分を見ている事が凄く嬉しくもあり、 悪い事をしているような罪悪感にも襲われて。 (触れて……みたい) 気付かれないよう、私はゆっくり手を伸ばしていく。 「う……、うぅん…」 とっさに私は身を隠す。 心臓が止まるかと思った…。 暗闇の中で、私は一人冷静さを取り戻す。 (ラブ………おやすみなさい) 部屋に戻って布団に潜り込む。 ―――深く―――深く 初めて見た余韻を忘れないように、と。 (寝静まった頃に現れるなんてちょっと……ね) 昨日の情景がまだ頭から離れない。 キッチンでお皿を洗うラブの後ろ姿をそっと眺めながら。 私は部屋へ戻ると、机の上にあった雑誌をペラペラと捲っていた。 気持ちを落ち着かせる意味でも。 『クリスマスもバッチリ!完璧にキメちゃおう!』 目に飛び込んで来たのは、美希のカジュアルに着こなした大人っぽい姿。 いつみても彼女は素敵。ラブとはまた違った何かが彼女にはある…。 ―――魅力的――― この目で確かめてみたい。 気付いた時にはもう、私の手にはアカルンが。 (アカルン。美希の元へ―――) 赤い閃光に包まれた悪戯天使。 辿り着いた先には、赤い衣装を着た美希の姿が。 しかし、飛び込んでくる世界は小さな隙間から見える程度。 身動きも取りづらく。 (ここは……) クローゼット。暗闇の中、せつなは美希を凝視する。 「アタシ完璧!美希サンタさん登場。なんてね、うふっ」 鏡の前で色々なポーズをする彼女。そんな姿を、私は一時も離さず見詰める。 本当に完璧だなと思う。背も高く、手足も長く、清楚な輝き…。 「次はどれにしよっかな…」 ポージングを止め、ベッドの上に置いていた洋服を模索する美希。 「ラブやブッキーに負けたくないし。たまにはね」 手に取ったのはミニスカート。そして―――― (!?) 着ていた衣装を一枚ずつ脱いでいく。 徐に現れていく美希の隠された部分。 「綺麗…」 思わず口に出してしまう程、魅力的なその体。 下着に包まれた部分も―――――見てみたい 〝バサっ〟 (あっ!) 無意識に手が動いてしまい、掛かっていた洋服が落ちてしまった。 その音に反応する美希。 「ん?」 一歩一歩、こちらへ向かってくる彼女。 (アカルン!…?アカルン!!) 無い。アカルンが無い!暗闇で手元が見えない。このままじゃ!!! 「美希~。そろそろ出掛けるわよ~」 「ハーイ。今降りてくから。」 大きなため息。動揺。そして――――罪悪感 クローゼットから出ると私は深呼吸をして。 「ごめんなさい、美希」 再びアカルンで自分の部屋へ戻る事にした。 はぁ… 思いっきり溜息をついて、私はベッドの上に倒れこむ。 ラブ。 そして―――美希。 私の大好きな親友…なのに。 込み上げてくる感情がどうしても……抑えられない。 (少し落ち着かないと…ね) 理性を取り戻すため、目を閉じて休もうとしたその時。 リンクルンにメールの着信音が。 差出人はブッキーで。 『やったよせつなちゃん!クリスマスセールの福引で景品当たっちゃった♪開けるのすっごく楽しみっ☆』 可愛い文面。見ている私まで嬉しくなってしまう。 あなたのその可愛い笑顔をもっと、ずっと――――見ていたい。 けれど…、もうやめよう。いたたまれない感情だけが私に残るから。 我慢。我慢して…。…大丈夫だから… 時計を見ると、もうすぐ晩御飯の時間。 一階へ降りようとした瞬間、リンクルンにメールの着信音が。 『至福の源泉入浴剤の詰め合わせだったよー!どれにしようか迷っちゃう。 これから美白の源泉試してみよっと。今度せつなちゃんにもお裾分けするね!』 ブッキーったら。そんな事まで報告しなくてもいいのに。よっぽど嬉しかったのね。 ――――――お風呂―――――― 再び高鳴る鼓動。 脳裏に駆け巡るブッキーの笑顔。白い肌。そして、健康的な体。 クローバーの中でもっとも胸が発育してるのはブッキー、あなただと思う。 私………、私ね、もう… 廊下に光る赤い閃光。 行く先は勿論、祈里がこれから産まれたままの姿になるあの場所へと。 辿り着いたのは浴室の手前で。 ドアの向こうには彼女が…、ブッキーがいる。 お風呂場の光が、私のいる場所をかすかに照らしていて。 「あっ」 思わず声が出てしまう。綺麗にたたまれた着替え。 ゆっくりとしゃがみこみ、私はそれをそっと手に取る。 シャツの下には、彼女の豊満な果実を包み込むブラジャーが。 (大きい…) 手にとって初めてわかる実感。やはり、彼女へのイメージは間違ってなかったのだと。 「今から………私も…」 鼓動は最高点まで達していた。ドアノブに手を掛ける。 服を脱ぐなんて言う余裕など全く無くて。 気が付くと、私は自分の部屋へ戻って来てた。 アカルンはまだ不思議そうにこちらを見てる。 「ごめんなさい。私、どうかしてるわよね。」 「あれ?わたし、ブラジャー持ってこなかったっけ?」 競-104へ
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それは、いつものようにラブと愛をかわした夜の出来事。 愛し合った後、お互いに裸のまま抱き合って眠るのが、わたしは好きだ。 抱き合いながら、汗ばんだ肌をラブに撫でられていると、満足しきったはずの身体に再び火が点くこともしばしばだった。 いつもなら、わたしを昇らせることに集中し過ぎているために、自分の快感には無頓着なことが多いラブ。 だけど、今夜のラブはどこかおかしかった。 「せつな…お願い、あたしにも…ちょうだい、もっと、もっと。せつなを一杯ちょうだい――――」 いつも求めさせてばかりのラブが自分から求めてくるなんて、滅多にない嬉しいことだ。 そんなラブが可愛くてたまらなくて、今夜はわたしがリードする場面が自然と多くなった。 攻めるのって、とっても体力がいるのね。知らなかった。だけど、いつもラブはそれをしてくれてる。それは、わたしが愛されてる証…なのかしら。 そう考えて、わたしは頬が熱くなる。ラブからの大きな愛を実感して、気恥ずかしさに襲われたから。 そんなわたしの横では、何度となく達しては果てたラブが、心地良さそうに眠っている。 なんて愛らしい生き物……ラブ、貴女が大好きよ。 その可愛いくちびるに口づけようと、顔を近づけたその瞬間、ラブの眉間が急に険しくなったかと思うと、突然に彼女は喋り出した。 「い…や…いやだよ…いかないで…いかないでっ…せつな…」 「ラブ?行かないでってどして? わたし、どこにも行かないわよ?ここに、貴女の隣にちゃんといるわよ」 必死に答えるが、ラブから返事はなく。 しばらく考えて、ようやくそれが寝言だと気づいたのだったが。 悪い夢でも見ているのか、うなされているラブの額には玉のような汗が吹き出している。 「可哀相なラブ……わたしならどこにも行ったりしないのに。貴女を置いてどこかに行くなんて、わたしに出来るはずないのに……」 そうひとりごち、ラブの額に浮かんだ汗を、ティッシュでそっと押さえ拭く。 それに嫌々をするように首を横に振りながら、ラブはわたしの名を呼んだ。何かを掴むように右手を高々と挙げ、きつく閉じられた瞳から涙まで流して。 「せ…つな…」 わたしは思わずラブの右手を握った。 一体ラブはどんな夢を見ているというのだろう。こんなに苦しむ程だ、わたしに関するとてつもなく不幸な内容に違いない。 ハラハラする想いで一杯になり、胸が苦しくなる。 ああ――――ラブの夢が覗けたらいいのに。 「キィ!!」 わたしの想いに反応したのだろうか。紅い鍵が、キラキラ輝きながらリンクルンから飛び出してきた。 「アカルン?――――そうか!あなた、ラブの夢の中へ連れて行ってくれるのね!?」 「キィ、キィ!」 そうだと言うようにうなづくアカルン。 「ありがとう!!じゃあ急いで服を着て…と。OK!出発よ!」 「キィ!」 服に着替えたわたしが深紅の光に包まれ向かったラブの夢の中、そこには待っていたのは……。 この時のわたしはまだ知らなかったのだ。そこに、とんでもない光景が待っていたなんて。 わたしがいるのは、さっきまで居たラブのベッドではなく、公園だった。 「ここがラブの夢の中…なの…?」 「キィ!」 アカルンが自信満々に答える。 いつもと変わらない、クローバータウンの公園。しばらく歩いてみると、ステージの近くにラブを見つけた。 「ラブ!」 大声で叫んだわたしの声には気づきもしないで、ラブは茂みに隠れる。 茂みの陰から誰かをのぞき見ているようだ。 ラブの視線の先にいるのは、ベンチに座る美希と、彼女にしな垂れかかる黒髪の少女……わたし?! 「ありがと美希。今日はとっても楽しかった。服を選んでくれて、それからこんなに素敵な指輪まで……」 「やっぱりルビーにして正解だったわね。せつなにスッゴク似合うわ」 「だけど、こんなに高価なもの貰っちゃって――――ホントにいいの?」 「当然。アタシがあげたいの。だってせつなはアタシの彼女なんだから。アタシのだっていう印、つけとかなきゃね」 「嬉しい…美希」 「可愛いせつな…」 見つめ合うふたり。そのままふたりはくちびるを重ね合って……。って、えええっ!!ラブの夢の中ではわたし、 美希の彼女なの!?どして!? ふたりのキスには次第に熱が入り、美希の手はわたしの胸を揉みはじめ…んー、ややこしい。 便宜上、夢の中のわたしをセツナと呼ぶことにする。 美希に胸を揉まれながら、まるでもっともっととねだるように身体を押し付けていくセツナ。 そんなセツナのスカートの中に、美希の手が伸びていき……。 一方、熱いキスを茂みからのぞき見るラブは、涙を浮かべている。 「セツナ…あたしこんなの嫌だよ…」 ラブ…あれはわたしじゃない。セツナよ。わたしならここにいるわ。せつなは貴女だけを愛してる。 わたしはラブのそばに駆け寄り、抱きしめようとした。 だけど、駄目だった。いくら力を込めて抱きしめようとしても、腕がするりとすり抜けてしまうのだ。 どうやら夢の世界では、わたしは半実体の存在らしい。 そうこうしてるうちに、風景が急に暗転していく。 どうやらここは、喫茶店らしい。奥まった席で、ブッキーとセツナが座っている。 ラブを探すと、ついたてを挟んだ隣の席に、彼女はいた。聞き耳を立てているようだ。 「セツナちゃん、ここ?」 「んっ…ふ…あんっ…」 微かに聞こえる喘ぎ声。テーブルの下で、ブッキーの手がセツナのスカートの中をまさぐっている。 こちらでは、セツナの相手はブッキーなのね。 セツナは顔を赤く染め、陶然とした表情を浮かべている。 「くすくす…そんなに気持ちいい?あんまり声出すと、他のお客さんに聞こえるよ」 「だって…祈里が…んっ…あんまり上手いんだもの…ふあっ」 セツナはびくびくと震え、達してしまったようだった。 「ほらもう私の指、セツナちゃんのでびちょびちょだよ…どうしてくれるの?」 「ごめん…なさい…」 「罰として、ココから下着は脱いで帰るのよ。電車の中でもたっぷりと可愛がってあげる…」 これがブッキーなの!?いつもの彼女とはまるで別人だわ…… って、別人なのよね。いけない、いけない。つい間違えそうになっちゃう。 隣の席では、ラブがまた涙を流している。 「セツナ…ひどいよ…」 だから!あれはわたしじゃないってば!! 抱きしめられないとわかっていても居ても立ってもいられなくなり、わたしはラブを抱きしめる。 すり抜けてしまうけれど、包み込むように、そおっと。 だけど、再び世界は暗転して…… 行く先々の世界で、セツナは様々な人に抱かれていた。 ミユキさん、レミさん、由美にまで……。 中にはとても言えない相手までいた。 「アカルン!もういい。こんなの無意味よ!帰りましょう」 「キ、キィ…」 申し訳なさそうに、うなづくアカルン。アカルンが悪い訳じゃないのに、わたしったらアカルンに当たってる。 「ごめんなさいアカルン…、貴女のせいじゃないのに、あんな言い方」 「キィ」 アカルンは優しく微笑んでくれた。分かってるよ、と言うように。 再び深紅の光に包まれて、わたしは現実世界に舞い戻った。 見慣れたラブの部屋。ベッドの上では、ラブがまだうなされている。 「嫌っ…せつな、いかないでよ…」 「ラブったら…あれは夢なのよ。起きて!!」 ラブを悪夢から覚ますため、わたしは彼女を精一杯揺り起こした。 「う…うぅ…せつな…?」 目を覚ましたラブが、涙を擦りながらわたしを見つめ、強く抱きしめてくる。 「せつな…どうしていっちゃうの!?」 「やぁね、あれは夢、わたしは何処にも行かないわよ」 「だってアタシ以外の人達から、いっぱいイかされてたじゃんか…」 … …… ………はーーー。がっくり。 そっちの「イかないで」だったわけね。 「もう!勝手にあんなエッチな夢見ておいて、何なのよ!ラブなんて知らない!!」 「あれっ…?何を怒ってるのかな、せつなは。 あ、アタシだけ気持ちよくなったから怒ってるのか。ごめんね、今からいっぱいせつなもイかせたげるから。 ――――ってか夢の中身、何で知ってるの?」 「知りません!!」 その日からしばらくの間、エッチをおあずけされて悶絶の日々を過ごしたラブだけど、それはまた別のお話。
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誰が言い出したのか、わたしたち4人は今日も集まっていた。 場所はいつものところ。桃園家のラブちゃんの部屋だ。 「今日はポッキーゲームをする日だって決まってるんだよ!」 「そうなの? どうやってするの?」 「ポッキーを両端から食べるの。長く食べた方が勝ち。途中で止めた人は罰ゲームだからね」 何も知らないせつなちゃんに、やり方を説明するラブちゃん。罰ゲームの内容なんて聞くまでもない。 そんなラブちゃんを、美希ちゃんは面白そうに眺めている。どうして教えてあげないんだろう。そんなのは嘘なんだって。 だけど、そんなの決まってる。せつなちゃんの唇に口づけたくてたまらないラブちゃんに、ほんの少し肩を貸しているだけ。 そんな美希ちゃんを黙って見ているわたしもまた、ラブちゃんに味方している美希ちゃんと同罪だ。 「まだよくわからないわ」 小首を傾げてみせるせつなちゃんはホントに可愛い。ラブちゃんが好きになるのも無理ない。 「じゃあ、美希たんとブッキーにやり方見せてもらおうか」 「ええ、お願いします。美希、ブッキー」 「ハア!?」 さっきまでニマニマしていた美希ちゃんは、顔を紅くしたり蒼くしたりで余裕を無くして忙しそう。 「いいよ。美希ちゃんやろう」 わたしは、ポッキーを一本手に取り、彼女に向かい合う。 「こんなの、ただのゲームだよ美希ちゃん」 そう言うと、彼女を安心させるために笑いかけた。 だけど、その言葉は逆効果だった。 何も言わず立ち上がり、乱暴にドアを開けて、美希ちゃんは逃げ出した。 「あーあ……」 「失敗しちゃったわね」 残念がるふたり。何が起こったのかわからない。 「ふたりとも素直じゃないんだもん。ね?」 ラブちゃんの言葉に、せつなちゃんが頷く。さっきまで、素直じゃないのはあなたたちだとばっかり思っていたわたしは、ただポカンとしている。 「追っかけないの?」 ラブちゃんの言葉に促されるように慌てて鞄を拾い上げると、廊下に飛び出した。 案の定、公園で見慣れた後ろ姿を見つけると、そっと近づいて言う。 「ごめんなさい」 驚いて振り返る彼女は、瞳にいっぱいの涙をためている。瞬きをすれば一瞬であふれそうなそれを、わたしは唇で舐め、掬い取る。 「ホントはゲームだなんて思ってないから。だから……」 美希ちゃんの涙で舌がしょっぱい。わたしはこれ以上言葉を見つけられない。言葉のかわりに、美希ちゃんのつやつやしたくちびるに少し乱暴にくちびるをぶつける。 美希ちゃんは、痛いじゃないと言って笑った。 綺麗な美希ちゃん。意地悪な美希ちゃん。大人っぽい美希ちゃん。だけど、この時わたしは知ったのだ。わたしにしか見せない、誰も知らない美希ちゃんを。 end
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「夢の世界へようこそ!謎のプリキュア軍団登場っ!?」 時見町で最近流行っているという謎の眠り病にかかったフーミンたちは夢の世界から抜け出せなくなってしまう 新しい登場人物 夢の精霊バクー 四方山家、フーミンが目覚めると、両親が忙しない様子で仕事に向かう支度をしている。 なにやら町内で眠り病が流行っているらしく、その取材に行くのだという。 忙しい両親の代わりに妹を幼稚園に送りに行くフーミン。 幼稚園の様子もいつもと何か違う。 眠り病だ。すでに数名の子がかかってしまったらしい。 嫌な胸騒ぎを覚えながら学園に向かうフーミン。 教室は眠り病の話題で持ちきりだ。 オッキー、ピカリンの妹も眠り病にかかってしまったらしい。 「寝顔は笑顔で楽しそうなの。まるで素敵な夢でも見てるのかなって感じがして…」 力のない声で呟くオッキー。 「いったい何がどうなっているのか…」 人気のない時計塔でひとり頭を悩ませるフーミン。 「ドスン!」 何かが落ちてきた!? おそるおそる周囲を見渡すと、 小さい何かがうずくまっている。 「アイタタタ…」 見た目はバクのような謎の生き物、これは一体? 謎の生き物を抱えたフーミンはあゆむ達の元へと走る。 夢の世界へ誘う能力があると話すバクー。 フーミンはオッキー、ピカリンと共に夢の世界へと旅立つ。 たどり着いた夢の世界。 メルヘンなおとぎの国。 眠り病の人々も生き生きとした表情で夢の世界を楽しんでいる。 そこにはオッキー、ピカリンの妹の姿も…。 怪物が表れて夢の世界はパニック状態に…。 逃げ惑う人々。 すると3人の元に3匹の小さい生物が集まってきた! プリキュアになって戦うんだ!と話す妖精たちの願いを聞き入れて変身した3人。 そして敵と戦うフーミンたち。そこへあゆむたちも到着 必殺技で敵を蹴散らすフーミンたちはとても楽しそうだ もうほっておいてもいいんじゃないかな… しかしはやく夢から覚めさせてやらないと3人の体がどんどん衰弱してしまう フーミンたちに浄化技を食らわせる事をためらうあゆむと、少し嬉しそうなはるか フーミンたちにはあゆむらが敵に見えているらしく、戦闘に オッキーはつむぎの説得であっさりと正気に戻るが フーミンとピカリンはプリキュアに憧れていたらしく、力に酔って説得に応じない 仕方なく必殺技で浄化するあゆむ、はるかも積年の恨みをこめてピカリンを浄化 バクーに取り付いていた時魔龍の思念は消滅、正気に戻ったバクーは未来へ帰っていく 夢から覚めたフーミンたち 夢の中での出来事の記憶は消えているようだが、その顔はとてもスッキリした様子 だがピカリンだけはなぜか、体のふしぶしが痛むような気がするのだった バクのようなものは残骸時魔に取り付かれた精霊という事にしよう 名前はまんまバクーで良さそう。いつものほほんとしてそうだ スクープ大好きキュアフラッシュ 縫い物大好きキュアステッチ 歌うの大好きキュアシャープ メイミラとめぐるはフーミン達とそこまで面識が無いから夢には入れない、でも良いんじゃないかなあ
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「日本を訪れていた、めくるめく王国ご一家が、本日帰国の途に就きました。」 夕食の後片付けをしていたせつなは、テレビから聞こえてきた声に、顔を上げた。画面には、たくさんの見送りの人々に囲まれた国王と王妃、それに二人の間でニコニコと手を振るジェフリー王子の姿が映っている。 「今回の滞在は比較的長く、ご一家は日本を満喫された模様です。 中でもジェフリー王子は、その流暢な日本語のみならず、綿あめや輪投げといった日本の庶民文化にも通じているなど、その日本通ぶりで我々を驚かせ、喜ばせてくれました。 何と言っても、その愛らしい笑顔に魅了された人は、数知れません。」 各地を巡ったときの、ジェフリーの映像が流される。縁日らしき場所で、綿あめを口にする姿。小学校の子供たちと、サッカーをする姿。そのあどけない、そして心から嬉しそうな笑顔を見て、せつなも自然に頬が緩んだ。 「やっぱり可愛いよねぇ、ジェフリーは。ねっ、せつな。」 隣りにやってきたラブが、そう言ってせつなの顔を覗きこむ。その妙にニヤニヤとした楽しそうな視線から、せつなはプイと顔をそむけた。 「私は、別に。」 「あれ~?せつな、何だか赤くなってない?」 「なっ、そんなこと・・・」 「ホントに可愛いわね~、この王子様。見ているこっちまで幸せになっちゃうわ。」 あゆみの言葉に、せつなは慌ててラブに言い返す言葉を飲み込む。同時に、あゆみがあのときの祈里と全く同じ台詞を言っているのに気付いて、可笑しくなった。 クスリと笑って、もう一度テレビに目をやる。場面はまさに帰国直前、国王の顔を見上げてひとつ頷き、特別機の機内へと入っていくジェフリーの姿だ。 (あれ?何だか・・・。) 一瞬の後に消えた、ジェフリーの映像。が、その消える間際の彼の姿に、何だか以前会ったときとは違う何かを感じて、せつなは小さく首を傾げた。 四つ葉になるとき ~第2章:響け!希望のリズム~ Episode6:タルト、またまた危機一髪!?(前編) その事件の始まりに、最初に気付いたのは祈里だった。いや、正確には、このところ祈里が毎朝散歩に連れていく、三匹の小型犬だった。 朝早く、病院の夜間通用口にもなっている横手の狭い扉から外に出たとき、一足先に外に出た三匹が、いつになくキャンキャンと騒ぎ立てたのだ。何事かと顔を上げると、その場から足早に立ち去るジーンズの片足が、かろうじて祈里の目に留まった。 三匹が、祈里の顔を見上げて物言いたげにクゥンと鼻を鳴らす。周りに人の気配が無いことを確認してから、祈里はその場にしゃがみ込んで、三匹と視線を合わせる。 「なぁに?何かわたしに、伝えたいことがあるの?」 優しい声でそう問いかける彼女の肩の上に、キルンがポン、とその姿を現した。 ☆ その次に気付いたのは、ラブとせつなだった。ダンスレッスンに向かう途中、二人は顔なじみの花屋のお姉さんに呼び止められたのだ。 「ラブちゃん、せつなちゃん。今日、おたくのフェレットのことを訊きに来た人がいたわよ。あのペットスクープの騒ぎ、まだ続いてるの?」 心配そうに尋ねられ、ラブとせつなは顔を見合わせる。タルトがスクープされてしまった事件は、もう一週間も前のこと。アニマル吉田はちゃんと約束を守ってくれて、あれからタルトの周りは、至って静かだった。 「そう。何も無いのなら、良かったわ。ちょっとしつこかったから、気になってたの。勿論、ラブちゃんたちが飼い主だなんて言ってないわよ。」 「それって、マスコミの人ですか?」 ラブの問いに、お姉さんは切り花のバケツの水を替える手を止めて、少し考えた。 「う~ん、マスコミの人には見えなかったけど。膝のところが破れたジーパンに、Tシャツ姿で・・・それと、何だかゆっくり喋る人だったわ。」 記憶を辿ってそう教えてくれたお姉さんに、ありがとう、とお礼を言いながら、二人の頭の中は、疑問符で一杯だった。 ☆ 「えぇっ!?ブッキーの病院がぁ?」 「怪しい男に見張られている、ですって?」 「どういうこと?」 ラブ、美希、せつなの三人に詰め寄られて、祈里は困ったように、視線を足元に落とす。 「理由はわからないけど、ワンちゃんたちがもう三日連続で、病院の周りをうろうろしている男の人を見た、って言ってるの。 お父さんに話して、警察にも連絡したんだけど、ただウロウロしているってだけじゃ、警察もなかなか動いてくれないらしくて・・・。」 祈里の言葉に、三人はそれぞれ険しい顔で考え込んだ。 急に静かになったせいか、蝉の声が辺りを包むように響き渡る。四人がいるのは、四つ葉町公園の石造りのベンチ。これからダンスの朝練なのだが、その前に祈里が、今朝犬たちから聞いたことを全員に話したのだった。 「まさか・・・あのペットスクープ絡みってことは、ないよね?」 ラブの言葉に、美希が目を丸くする。 「え・・・?だって吉田さん、家族に喜んでもらえるペットスクープを目指す、って言ってたじゃない。」 「いやぁ、そうなんだけどさぁ。・・・実はあたしとせつなも、ここへ来る途中、ちょっとヘンな話を聞いたんだ。」 ラブの説明を聞いて、美希の顔はより一層険しく、祈里の顔は、より一層心配そうになる。 「とにかく、朝練が終わったらブッキーの家に行ってみましょう。何か分かるかもしれないわ。」 せつなの言葉に、三人ともしっかりと頷いた。 やって来た三人を部屋に招き入れ、祈里は勉強机が面している窓を開ける。そこからなら、病院の横手――今朝男が立っていた、夜間通用口の辺りを見渡せた。 「あの辺りに立って、病院の中を覗いていたらしいの。」 「あそこから覗いたら、何が見えるの?」 「入院している動物さんたちの、ケージが並んでいるんだけど。」 「ってことは・・・もしもペットスクープ絡みだとしたら、あそこにタルトがいると思って?」 美希が眉をひそめる。そのとき、 「あ。誰か来たわ。」 ずっと窓の外に目をやっていたせつなが、冷静な声で言った。 四人で窓からそっと外を窺う。祈里の言った通り、夜間通用口の隣りにある窓から、男が一人、建物の中を覗き込んでいた。 白い半袖のTシャツに、ジーンズ姿。それでも暑いのか、しきりに額の汗を拭っている。どうやらまだ若い男のようだ。 「ブッキー、あの人?」 ラブの問いかけに、祈里は自信なさそうに首をひねる。 「うーん、今朝は、ジーンズがちらっと見えただけだから・・・。」 「少なくとも、ラビリンスではないみたいね。」 少しホッとした様子で呟くせつな。反対に、ラブはいつになく真面目な顔で、男の姿をじっと見つめた。 「ねえ、せつな。花屋さんが言ってたのって、膝が破れたジーパンにTシャツ姿、だったよね?」 「なるほど・・・。同じ人かもしれないわね。」 せつなが厳しい表情になる。 「でも、上でも向いてくれなきゃ、顔がはっきりとはわからないわね。」 美希がそう言って溜息をついたとき、男が苛立たしげに左手を上げて、ガシガシと頭を掻きむしった。 美希が、あ、と小さく声を上げる。 「あの腕時計・・・。」 「腕時計?」 せつなが不思議そうに美希の顔を見てから、もう一度男を見やる。男の左手首には、ビニールのてかてかした青いベルトが巻かれていて、それには確かに小さな文字盤が付いている。まるで子供がしているような、いかにも安っぽい腕時計だ。 「あの時計、どこかで見た気がするんだけど・・・。どこだったかしら。」 ラブが美希と一緒に、うーん、と考え込む。 「えーっと・・・モデルさんの衣装で、付けたことがあるとか?」 「いくらなんでも、あんな・・・って言い方は失礼よね。でも、現場で見たわけじゃないわ。」 「じゃあ街中で、誰かが付けているのを見たとか?」 「ごめんなさい、思い出せないわ。でも、どこかで見たのよね・・・。」 美希に続いて、ラブと祈里もガックリと肩を落とした。 「ねえ、ラブ。お花屋さんは、ゆっくり喋る人だった、って言ってたわよね。」 せつなが男から目を離さずに、ラブに話しかける。 「うん、そうだったね。」 「その割に、あの人ずいぶんイライラしているみたい。何かを急いで手に入れたくて、焦っているようにも見えるわ。」 「それが・・・タルト?」 ラブが不安そうにそう言ったとき、美希が鋭く囁いた。 「あ、ほら。動くわよ。」 男が相変わらず髪をくしゃくしゃと掻き乱しながら、くるりと向きを変えた。そのまま表通りの方へ、スタスタと歩いていく。 「追いかけよう!」 言うが早いか部屋を飛び出すラブに、せつな、美希、祈里が続く。だが、四人が表へ出たときには男の姿は既に無く、辺りをいくら探しても、見つけることはできなかった。 ☆ ラブたちが不審な男を探していた、その少し後のこと。 当のタルトは、四つ葉町公園の一角で、ガックリと肩を落としていた。近くに浮かんでいるシフォンが、その様子を不思議そうに見つめている。 「なんやぁ。カオルはん、店休んでんのかいな~。今日一日ドーナツが食べられんやなんて、ホンマ殺生やで~!」 楽しみにしていたドーナツカフェのワゴンはどこにも見当たらず、公園がやたらと広く感じられる。仕方なく、タルトは元来た道をトボトボと戻り始めた。 「ピーチはんもパッションはんも、毎日ダンス、ダンスでワイにかもうてくれへんし。つか、二人のアイス食べてもうてから、なんやワイに冷たい気ぃがするんやけど。自業自得っちゅうヤツなんかなぁ。」 誰もいないのを幸い、ぶつぶつと独り言を言うタルト。と、突然その顔が引きつった。いつの間にか何者かが、目の前に立ちふさがっていたのだ。 「わわわわ・・・な、なんやぁ?」 目の前には、紺色の長い棒のようなものが二本。視線を少し上げてみると、破れ目から膝小僧が覗いている。さらに上へと目を走らせると、そこにあるのはこちらを覗き込んでいる男の、満面の笑み・・・。 「どわっ!」 思わずしゃべってしまったことに気付いて、タルトは慌てて口を押さえる。同時に、大勢の人間によってたかって・・・それも笑顔で追いかけられた、あのときの恐怖がよみがえってきた。 急いでシフォンを背中に乗せると、四つ足になって走り出す。笑顔の主は、何事か叫んだかと思うと、彼の後を追って走り出した。その予想以上に素早い動きに、うなじの毛がピーンと逆立つような緊張感が、タルトを襲う。 (うわぁ、堪忍したってぇな~!) ところが、公園を出たところで後ろから聞こえてきた言葉に、タルトは思わずずっこけそうになった。 「待ってぇ、そこのナマモノ!言葉しゃべるのか?お前、幸せになれるナマモノか?ちょっと、待て~!」 (ナマモノやない!イキモノやがな。セイブツでもええけど、ナマモノは無いで。あんさん、漢字の読み方、間違うとるで!) 声には出せないので、心の中でツッコミを入れる。気を取り直して足を速めようとするタルトに、声はなおも追いすがった。 「幸せのナマモノ~!お願いです。俺様、みんな幸せにしたい。タイムリミットまでに、どうかお願い。一緒に、来ヤガレ!」 (丁寧なんか乱暴なんか、そもそも何言うてるんか、さっぱりわからへん!でも・・・ワイがしゃべっても、この人、それには動じひんみたいやなぁ。) タルトは意を決してくるりと後ろを向いた。そして、まだ少し距離がある男に呼びかけようと、息を吸い込む。 その時、急に男の動きが止まった。怯えたように辺りを見回すと、最初に目に付いたらしい脇道に飛び込む。そして男はタルトを置き去りにして、一目散に走り去ってしまった。 「・・・なんやぁ?あれ。」 「キュア~?」 目をパチクリさせるタルトとシフォンの鼻先を、自転車に乗ったお巡りさんが、のんびりと行き過ぎていった。 ☆ そして、そこには実は、もうひとり。 公園のベンチで昼寝をしていた西隼人は、ドタバタと何かが走り回る物音に、たまらず目を開けた。足音だけでなく、彼が大嫌いなあの言葉までもが、何度も聞こえてきたような気がする。 「ううむ・・・。この世界の人間どもは、なんてしつこいのだ。よし!今度こそ、そいつを捕らえてモフモフ・・・いや、不幸のゲージ、上げさせてもらうぞ!」 叫ぶと同時にベンチから跳ね起きる。タッと地面に降り立った隼人の目の前には、真夏の午後の強い日射しと、ざわざわと揺れる濃い緑。 「スイッチ!って、あれ・・・だぁれも居ねぇ・・・。」 彼の呟きをあざ笑うかのように、ツクツクボウシが高らかな声を響かせ始めた。 ☆ 疲れ切ったタルトが、シフォンを連れて桃園家に戻ってきたとき、謎の男の捜索に行き詰った四人も、ラブの部屋に集まっていた。 「タルト!良かったぁ、無事に帰ってきて。大変なんだよっ!」 「ピーチはん!ちょっと聞いてぇな。今日は大変やったんやぁ!」 我先に話を進めようとするラブとタルト。せつながラブを、美希がタルトを押しとどめ、祈里が両方の話を整理して、ようやく全ての話が繋がった。とは言っても、分かったことと言えば、どうやらみんな同じ男に振り回されていたらしいということと、男の狙いはやっぱりタルトらしいということ、その二つだけだ。 「それにしても、タルトのことを『幸せの生き物』だなんて、どこからそんな話が出てきたのよ。」 美希が不思議そうに首をひねる。ペットスクープで騒がれたのは、おへそが無い、ということだけで、そんな迷信じみた話が出てきた覚えは無かった。 「ほら、あのとき商店街にビラが撒かれたでしょ?どうもあれを見た人たちが、そんなことを言い出したみたいよ。」 「それでウエスターが、ナケワメーケでタルトを狙ったりしたわけね。」 祈里の言葉に、せつながやっと納得がいったというように、小さな声で呟く。 「じゃあ、あの人もその話を信じて、タルトを狙ってるってこと?本気でそんなこと信じるかなぁ。」 怪訝そうな表情のラブに、祈里が静かに首を振った。 「珍しい動物が、幸福の象徴になるのはよくあることなの。有名なところでは、昔から、白い蛇はとても縁起がいい、なんて言われてるわ。」 「へぇ~!」 「だからぁ、ワイは動物やない。可愛い可愛い妖精さんやぁ!その上、蛇と一緒にするやなんて・・・。」 不満そうなタルトの呟きは、祈里の話を感心して聞いている三人には、残念ながら届かなかった。 「それで、これからどうする?このままじゃ、タルトが危険よね。」 美希が眉をひそめて、三人を見回す。しかし、タルトは尻尾をゆらゆらと左右に振りながら、のんびりとした調子で言った。 「せやけど、アイツ、そないに悪いヤツには見えへんかったで。なんやワイのこと、誤解しとるようやったけどな。せやから、ちゃんと話して誤解さえ解ければ・・・」 「なに呑気なこと言ってんのよ!」 バン、と机を叩いて立ち上がったラブの剣幕に、タルトは思わず縮こまる。その身体がふいに抱き上げられたかと思うと、うるんだ大きな瞳に、至近距離から覗き込まれた。 「狙われてるのは、タルトなんだよ?ホントにわかってんの?タルトが・・・あたしたちの大切な家族が、また危ない目に遭ったら、あたし・・・。」 そこまで言うと、ラブは耐え切れなくなったように、タルトをぎゅっと抱きしめた。 「あたし、この前タルトが病院から居なくなったとき、すっごく心配したんだからね。あんな思い、もうしたくないよ。」 「ピーチはん・・・。」 早くも泣きそうになっているタルトの頭を、せつながちょんと指で小突く。 「そうよ。だから今度ばかりは、心配かけないでよね、タルト。」 「ここまで言われちゃ仕方ないわね、タルト。今度こそ大人しくしてなさい。」 「そうそう。またラブちゃんとせつなちゃんに追いかけられても、助けてあげないんだから。」 「みんなぁ・・・。」 美希と祈里も加わって、タルトの涙腺は、あっという間に崩壊した。 ☆ 次の日の午後。 二日ぶりに店を開けたカオルちゃんは、近付いてくる人影を見て、あれ?と意外そうな声を上げた。 「いらっしゃい。珍しいね、お嬢ちゃん一人?」 「ええ。でも、多分みんなともまた後で来ます。今は、タルトの分を買いに来たの。」 少しはにかんだ笑みを浮かべたせつなが、静かに店の前に立った。 タルトの好みを知り尽くしているカオルちゃんが、ドーナツを手際良く紙袋に詰めていく。 「へぇ。兄弟がそんなに大人しくしてるなんて、珍しいことがダブルで来たね。グハッ!」 話を聞いて、相変わらず軽~い口調で返すカオルちゃんに、せつなは苦笑する。が、 「まぁ、それだけ心配されてるんじゃ、仕方ないか。兄弟は幸せモンだよねぇ~。」 そう言って笑うカオルちゃんを見て、何やら考え込んでしまった。 あれから四人で相談した結果、せつなたちは、やっぱりあの男を探すことにした。もしかしたらタルトの言う通り、ちゃんと話せば誤解が解けるかもしれない。それでタルトを追いかけるのをやめてくれれば、それが一番いい。そう思ったからだ。 ただし、タルトはこれには加わらず、シフォンと留守番していること。そして、もし誰かが彼を見つけたら、必ず他の三人に連絡して、四人揃ってから声をかけること。この二つを必ず守ろうと、約束した。 あゆみと圭太郎にも、タルトを探し回っている人物がいるらしいと告げた。これには、二人に心配をかけるだけなのではないかと、せつなは最初、反対した。だがラブは明るく笑って、 「タルトはうちの家族だもん。お父さんやお母さんに話すのは、当然だよ。」 と言い切った――。 「あの。」 せつなが思い切った様子で、カオルちゃんに声をかける。 「心配されるって、幸せなことなんですか?私には、大切な人を苦しめるだけなんじゃないかって思えるんですけど。」 カオルちゃんは、ポカンとした顔でせつなを見てから、やがてその口元を、わずかにほころばせた。 「う~ん、そうだなぁ。心配ってのは苦しいし、長くて重い心配ってのも、世の中には五万とあるだろうけどね~。」 空を仰いでそう呟いてから、彼はせつなに向き直る。 「お嬢ちゃんさ。この前兄弟が騒ぎに巻き込まれたとき、心配した、って言ってたよね。あのとき、どんな気持ちだった?」 え・・・と目をパチパチさせてから、せつなはうつむいて、あのときの自分の気持ちを思い出す。 「とっても不安で、ドキドキして、タルトの具合が良くならなかったらどうしよう、具合の悪いタルトがもしも見つからなかったらどうしようって、そんなことばっかり考えて・・・。」 「それから?兄弟が見つかって、どう思った?」 「お腹も大したことないってわかって、無事に見つかって。凄くホッとして、安心して・・・。」 「うんうん。その、元気で無事でいる兄弟の姿、心配してる間、頭に浮かばなかった?きっとこういう姿でいてくれるって、そういう祈るような気持ち、なかった?」 「あ。」 せつながわずかに顔を上げる。その様子を見て、カオルちゃんは口元に小さく笑みを浮かべた。 「不思議だよね~。毎日元気でいるのがあったり前の人が、たま~に具合悪くなったりするとさ。また元気になったとき、それがあったり前なのに、妙に嬉しかったり、ありがたかったりするんだよね~。」 カオルちゃんはそう言いながら、トントンと袋の中のドーナツを落ち着かせる。そして袋の口を真っ直ぐに二回折り曲げると、折り目をしごいた右手の人差し指を、そのまま袋の右の角に載せた。続いて左手の人差し指を、左の角に載せる。 「こっちが最悪で、こっちが最高だとしたらさ。誰だって、この間のどこかにいるんだよね。」 カオルちゃんが、左手の人差し指で袋の左の角をつつく。 「こっちの、最悪の怖さにばっかり目が行っちまうのが『心配』ってヤツでさ。でもほら、こっち。」 今度は右の人差し指で反対側の角を叩いて、カオルちゃんは言葉を続ける。 「こっちの、最高・・・は難しいかもしんないけど、いいときの相手を知ってるから、心配も出来るのよ。いつかこっちの、いい状況になれるに違いない、いや、今はもう「いいとき」になってるかもしれないって、そんな希望があるからさ。 そもそも最悪しかないって完全に思ってたら、心配したくたって、出来ないもんね~。」 そこでニヤリと笑って、カオルちゃんはもう一度、袋の折り目を左から右に向かって丁寧にしごいた。 「そんな風に、いいときの――最高の自分を思い描いてくれる人がいたら、苦しめて申し訳ないって気持ちと一緒にさ。嬉しくて、ありがたくて、何とかそんな自分になれるように頑張ろうって、オジサン思うな~。」 真剣な顔で頷くせつなの耳に、あのときのラブの声がよみがえる。 ――せつなを独り置いて行けないよ。あたしだって、せつなが心配なんだからぁ。 あのとき・・・ドームで倒れたせつなを、医務室で介抱してくれたときの、ラブの言葉。ラブが思い描いてくれた「いいとき」は、あのときは偽りのものでしかなかった。 今はどうなんだろう。ラブは自分のどんな姿を、「いいとき」の自分と思ってくれているんだろう。そして今の自分は、そんな姿に少しでも、近付くことができているんだろうか。 「お嬢ちゃん。」 黙り込んだせつなに、カオルちゃんはまた能天気な声で話しかける。 「最悪にばっかり目が行っちまうのが『心配』って言ったろ?じゃあさ、最高にばっかり・・・時には、最高の最高、もーっと向こうにまで目が行っちまうのは、何だと思う?」 「え・・・?」 困った顔をするせつなにもう一度ニヤッと笑って、カオルちゃんは袋の左の角を三角に折る。 「じゃ、これは宿題な。ヘンなたとえに使っちまったから、最悪の角はまぁるくしとくから。あ、これ三角か。グハッ!」 ドーナツの袋と宿題と、それから何だかぬくもりまで一緒に手渡されたような気がして、せつなは少し照れ臭そうな笑顔で言った。 「ありがとう・・・カオルさん。」 途端にカオルちゃんの眉毛が、情けないくらいにカタッと下がる。 「お嬢ちゃん、カオルさんはやめてよ~。オジサンのコードネームは、カオルちゃん。そこんとこ、よろしく!」 ぐっと親指を立てる男を、「カオルちゃん」と呼び直すのは恥ずかしくて、せつなは真っ赤な顔でぺコンとお辞儀をすると、早足でドーナツカフェを後にした。 四つ葉町商店街に差し掛かると、向こうからラブが駆けてきた。今は四人それぞれ手分けして、昨日の男を探していたのだ。 「せつな~!何か手掛かり見つかった?あ、ドーナツ!嬉しいなぁ。あたしのために買ってきてくれるなんて、感激だよぉ!」 一気にまくしたてるラブに、せつなは悪戯っぽく笑って、ドーナツの袋をさっと背中に隠す。 「だ~め、これはタルトの。一日中家に居て退屈してると思うから、せめておやつに、ね。」 「そっか。そうだよね。タルト、きっと大喜びするよ。」 その言葉を聞いてふっと真面目な表情になったラブは、しかし次の瞬間、甘えるような上目遣いでせつなを見た。 「でもさぁ、こんな大きな袋ってことは、何個もあるよね?じゃあじゃあ、一個だけ~」 「ダメ!」 せつながきっぱりとそう言ったとき、ドーン、という破壊音が、辺りに響いた。 「何の音!?」 二人の空気が、一瞬で張り詰める。 「こっち!」 ドーナツの袋を抱えて駆け出すせつなに、ラブも続いた。 天使の像の方向に、盛大な土煙が見える。ドーン、ドーンという破壊音も、近付いてくる。やがて建物の陰から現れたものを見て、ラブとせつなは凍りついた。 淡いグレーの身体に、太くて長い尻尾。水色の襟飾りは、今は何だか刺々しいものに変化している。 「・・・な、なんでっ!?」 「・・・まさか、そんな!?」 呆然とする二人に、その生物・・・いや、怪物は、 「ナケワメーケ!!」 辺りを揺るがすほどの咆哮を上げた。 ~前編・終~ 新2-064へ
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百合勢とは植物のユリを好む美しきデュエリストたちの勢力である。 概要 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【分類】ユリ目ユリ科ユリ属 【学名】Lilium spp. (学名の由来)Lilium→ケルト語で白+花といわれるが、ラテン語その他の古い言語由来とも 大輪の筒状の花を咲かせる。その美しさは多くの人々を魅了し、古来から世界各地の文化に深く関わってきた。 本属の全ての種が鱗茎(球根)植物で、根は食用として栽培される(ゆり根)。大抵のユリの根には苦味があるので、栽培されているほとんどが、苦味のないコオニユリ(L. leichtlinii var. tigrinum)である。ゆり根は関西、特に京都で好んで食べられている。ネコに食べさせると毒があるっぽいので注意! 品種によって多種多様な花を咲かせ、園芸植物としても人気である。幕末には日本のユリがイースター・リリー(復活祭のシンボル)としてヨーロッパで大人気を博し、日本の生糸(絹)に次ぐ二番目の主要輸出品となった。 (某笑顔動画記事より引用) 関連項目 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆敵対する勢力一覧 コング勢 麻雀勢 もふもふ勢 非変態勢 ぺろぺろ勢 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 ─やぁ─ 百合勢とは、女性と女性の[禁則事項です]が大好きな者達による勢力である。 本当の概要 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こちらの「百合」の意味は、すなわち「女性同性愛」のことを指す。 しかし同じように女性同性愛をさす「レズビアン」と「百合」の言葉の間に ニュアンス的な意味の違いがあることも事実であり、 百合の方がよりプラトニック性を重視しているいう意見もある。 また、百合の中でも性的な感情に発展しているものを特に「ガチ百合」とすることもある。 百合勢 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 要は女性同士のカップリングを愛してやまない人々のことである。 ◆メンバーリスト 一度でも百合好きといったら・・・・フフフ 関連項目 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆敵対する勢力一覧 コング勢 麻雀勢 もふもふ勢 非変態勢 ◆派生(?)勢力一覧 ぺろぺろ勢 ◆元凶 変態勢
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love-setuna ベランダから部屋を覗くと、せつながベッドに倒れ込んでいた。 倒れた、と言うか、ベッドに腰掛けたまま上半身を横にしていた。 また、具合悪いんじゃないよね? 「……せつな、どうしたの?…って!?ちょっ!」 せつなの顔を覗き込もうとした瞬間、グイッと手を引かれて ベッドに引き倒された。 せつなが覆い被さってくる。 (………?) あたしに体重を掛けたまま、じっと動かない。 荒い息を抑えるように少し体を震わせている。 あたしの胸の上で押し付けられたせつなの鼓動が早鐘を打っているのに 気が付いた。 背中に腕を回し、寝返りを打って体を入れ換える。 心臓の動きに合わせて、微かに左乳房が揺れてる。 宥めるようにさすると、せつなが手の平を重ねてきた。 「………会ってきた。」 誰に、とは聞くまでもない。 余程緊張したのだろう。重ねられた手は冷たく湿っている。 体を起こして顔を見ると、泣き出す寸前の子供のような表情をしていた。 「……そっか…。」 前髪の生え際を撫で、おでこをくっつける。 せつなはギュッと目を閉じ、あたしの首に腕を絡める。 「………抱っこ、して…。」 涙の混じった声でそんな事を言う。 せつなの頭を抱えるようにして、今度はお互い向かい合って横になる。 腰を引き寄せ、ぴったりと体を密着させる。 せつなの動悸が治まるまで。 「……精一杯、頑張ってきたんだね…?」 髪を指で梳き、よしよしと背中をさする。 「せつな、いい子。」 「…いい子なんかじゃ、ないわ。」 泣かせてきたんだもの。 「……せつなはいい子。あたしの大事なお姫さま。」 ラブは唄うように囁く。 「せつなが何を言って、どんな事をしてもね。」 あやすように体を揺すり、額に、瞼に、頬に、口付ける。 「だーい好き、だよ?」 あたしとせつなの鼓動が緩やかに重なっていく。 まるで一つの心臓みたいに。 「……私も。」 ラブの中に溶けてゆきたい。 「それはダメ。」 「……どして?」 こんな風に抱き締められなくなるから。 「……せつなはね、幸せになるんだよ。今より、もっと、もっと。」 だからブッキー、戻ってきてね。 あたしもせつなも、あなたの笑顔を待ってるから。 miki-inori 祈里が訪ねて来た。 唇を引き結び、硬い 表情で。 泣きそうなのを我慢してる。それくらい分かる。 何年付き合ってると思ってるの? 「らしくない事、するもんじゃないわよ。」 しんどかったでしょ? 「……美希ちゃん……。」 ポンポン、と頭を叩くと祈里はアタシの膝に顔を埋めて泣きじゃくった。 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい………… ただ、それだけを繰り返す。 アタシにしか、言えないんだよね? ラブにも、せつなにも言葉での謝罪なんて意味がないから。 でも、言いたいのよね。ごめんなさいって。 だって、あなたが悪いんだもの。謝らなきゃ、苦しいわよね。 だから、アタシが聞いてあげる。 ラブの分まで。せつなの分まで。 「これで、お仕舞いにするから……。もう、泣かないから。」 本当は、もう泣かないでいられるって思ってたの。 だって散々泣いた後だったから。ダムが出来るんじゃないかってくらい。 でもね、また溜まっちゃったみたいなの。 美希ちゃんの顔みたら、我慢出来なくなっちゃったの。 祈里は、そう言ってまたアタシのスカートを涙で濡らす。 アタシは黙って祈里の柔らかい髪を撫で続けた。 「…美希ちゃん。次のダンスレッスンね、一緒に行ってくれる?」 「いいわよ。前の日に泊まりに来れば?」 一緒に寝て、朝一緒に出よう。 「美希ちゃん、美希ちゃん、美希ちゃん……」 ごめんなさい、の次はアタシの名前? 壊れたスピーカーみたいね。 でもね、泣くのはこれでお仕舞い、なんて言わなくていいわよ。 膝くらいいつでも貸してあげるしね。 その代わり、なんでも話さなきゃダメよ? あなたは思い詰めたら録な事にならないって、分かったんだから。 せつなが祈里にどんな魔法をかけたのか、それは聞かない。 でも、祈里は泣けるようになった。 それなら、次はきっと笑ってくれる。 震える小さな背中には、目に見えない大きな十字架。 あなたは背負って行く事に決めたのよね? アタシは代わってあげる事も、手を貸す事も出来ない。しちゃいけない。 だから、隣にいるからね。 いつでも、アタシの手を握っていいから。 clover 朝靄が立ち込める。吐く息が白くなり、冴えた空気が肺を充たす。 「行こっか!」 ラブはせつなに手を差し出す。 「うん。」 対するせつなはちょっと硬い顔。 ラブはせつなを抱き寄せ、グリグリと頬擦りする。 「ちょっ、ちょっと、ラブ!」 「タッハー!今日のせつなも可愛すぎ!」 せつなは顔赤くしてラブを押し退ける。 「もう!」 「にゃはは!さぁ、レッツゴー!だよ!」 二人は手を繋いで玄関を出る。 ……… …………… 「ブッキー、そろそろ行こ。」 「……うん……。」 祈里は顔を強張らせ、口の端をひくひくさせている。 ……ひょっとして、笑ってるつもりなんだろうか? 「きゃっ!何?美希ちゃん!」 美希はうりゃうりゃ!と祈里の頬を両手で押し潰す。 「表情筋のマッサージよ。何なら体も解そうか?」 「やっ!やはっ!やめてぇ!」 美希は祈里の脇腹をくすぐる。 ひーひーと身を捩り美希の指から祈里が逃げようとする。 「もぉう、涙出たよぉ!」 美希は笑顔で手を差し出す。祈里は美希の柔らかな手を、キュッと握った。 天使像の前に着く 。 ラブとせつながやって来るのが見えた。 「せつなちゃん、ラブちゃん、おはよう!」 祈里が手を振る。 ラブが白い歯を見せて、大きく手を振り返してくる せつなは微笑んで、胸の前で小さく手を上げる。 「今日はミユキさんも来てくれるんだよね?くっはー!楽しみ!」 「随分体なまっちゃったわ。ちゃんと踊れるかしら。」 「せつなは慣らす程度にしときなさいよ?病み上がりなんだから。」 「せつなちゃんなら、ちょっとやればすぐに追い付けると思う。」 四人で歩く。笑い合い、ふざけ合い、光の中を。 並んで、少し乱れたり、誰かが遅れたりしながら。 以前と変わらぬ風景。 でもそれぞれの中に、それぞれの傷。 深いもの、浅いもの、消える傷、残る傷。 胸に抱きながら歩いて行く。 いつか大人になって、それぞれの道に別れてしまう事になっても。 今、この一時を一緒に。 fin み-90は後日談となります。
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SOU氏が制作したオリキュアです。 プリキュア設定 チーム変身台詞 全員「プリキュア! ジュエルシャイニングアップ!」 変身アイテム キュアジュエルコンパクト キュアジュエル 戦闘スタイルや能力は、変身用とは別にあるスキル系ジュエルをキュアジュエルコンパクトにセットして装備することで能力が追加されたり、新たな武器を使用できるようになったりする。スキル系のジュエルは最大2つまで装備可能。また、変身用は使用者固定だが、スキル系は使用者の制約が無いため全てがどのメンバーでも使用可能。キュアジュエルコンパクトにはジュエルをセットするスロットが3つあり、1つは変身用、残り2つはスキル系ジュエルをセットするスロット 作品のあらすじ 異世界に存在する宝石の国・ジュエルピア。 今から約1000年前、ここでは大量に産出される宝石資源を奪い合う大規模な戦争があり、それを終結させるため、当時の錬金術師達団結してはキュアジュエルを作った。その力で人々は戦意を喪失し、戦争は終結、戦争によって発生した負のエネルギーはとある場所(=現在では流刑地になっている場所)に封印された。 そして、錬金術師達の女リーダーが初代女王となり、ジュエルピア王国が誕生。 それから時は流れ、現代、ジュエルピアの流刑地にある監獄から囚人達が脱獄。 彼らは1000年前の戦争で発生したマイナスエネルギーの封印された場所に偶然たどり着き、封印を解き、悪の軍団・マイナスを結成し、ジュエルピア本土を襲撃。ジュエリア女王の指揮の元、ジュエルピア兵団が戦い、勝利するが、兵団は相当な痛手を負い弱体化、マイナスメンバーは異世界に逃亡。 それから2年後、逃亡したどり着いた地球でマイナスはジュエルピアを滅ぼすため人々を苦しめてマイナスエネルギーを集める活動を開始。 弱体化した兵団では太刀打ちしきれない、そこで、ジュエリア女王は、初代ジュエルピア女王が死に際に残した「2つの世界に危機が迫りし時、12の誕生石の乙女の戦士・プリキュア現る」という予言に出てくるプリキュアを探すことに…。 登場人物 プリキュア 紅城みな/キュアルビー イメージCV 平野綾(涼宮ハルヒ) おてんばで少し気が強く、身勝手な奴を許しておけない正義感の強い性格の主人公。 宝石が大好きで、趣味はビーズアクセサリーを作ること(宝石の部分を天然石ビーズ、それ以外の部分をを普通のビーズで作る)。 両親は宝石店を経営していて、同店では天然石ビーズも扱っている。 将来の夢は宝石職人などと言った宝石関連の仕事に就くこと。 毛虫が大の苦手。 宝石に関する知識も豊富で、会話の中でも宝石用語や石言葉を多用するほか、「キラキラに~」「キラキラな~」なども口癖。 身長155cm 名乗りは『勇気と情熱の赤き宝石! キュアルビー!』 武器は「ルビースティック」 必殺技は「ルビーレーザー」(出力調節可能なレーザー光線) 勉強:D 運動:B 精神:S 器用:S スキル:ビーズアクセサリー作成・宝石に詳しい パワー:C ディフェンス:D スピード:C テクニック:A 戦闘タイプ:火力重視型 蒼沼なみ/キュアサファイア イメージCV 竹達彩奈 もう一人の主人公。みなの赤ん坊の頃からの幼なじみで、家も隣同士。 おっとりした性格。 宝石に限らず、キラキラしたものなら何でも好きで、自室では熱帯魚とニジイロクワガタを飼っていて、好物も寿司の光り物。そして自身の部屋のタンスにも玉虫の標本を入れている。 自身の母とみなの母は中学時代の同級生。宝石用語は多用しないが、みな同様、「キラキラに~」「キラキラな~」が口癖。 身長155cm 名乗りは『慈愛と誠実の青き宝石! キュアサファイア!』 武器は「サファイアスティック」 必殺技は「サファイアウォール」(防御だけでなく飛ばして相手にぶつけたり、空中に水平に張り、落として相手を押しつぶしたりすることで攻撃にも使用でき、同様に空中に水平に張って足場として使用可能。一度に出せるのは6枚まで。 勉強:C 運動:D 精神:S 器用:C スキル:生き物の飼育 パワー:C ディフェンス:S スピード:C テクニック:C 戦闘タイプ:防御重視型 翠が丘らん/キュアエメラルド イメージCV白石涼子 陽気で天然かつほぼ常にテンションの高い性格。 新体操をやっているため体は柔軟。 メンバーの中で一番小柄。 自身の身長が低いのを気にしていて、「チビ」とか「小さい」とか言われるのを嫌がっている。 兄が二人(20歳と高校2年生)いる。 身長143cm 名乗りは『希望と幸福の緑の宝石! キュアエメラルド!』 武器は「エメラルドリボン」 必殺技は「エメラルドスプラッシュ」(宝石状のエネルギー弾を打ち出す。「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」に登場する同名の技をモチーフとした。効果はほぼ同じ) 勉強:D 運動:S 精神:E 器用:S スキル:体が柔軟 パワー:E ディフェンス:D スピード:A テクニック:S 戦闘タイプ:トリッキー・アクロバティック型 黄原ねね/キュアトパーズ イメージCV豊崎愛生 みな達のクラスの委員長。 大人びており、真面目でしっかり者で慎重な性格。みな同様、正義感も強い。 弟と妹がいる(小学4年生の双子)。 メンバーの中で一番背が高い。 身長163㎝ 名乗りは『友情と潔白の黄色き宝石! キュアトパーズ!』 武器は「トパーズヨーヨー」 攻撃はトパーズヨーヨーを巨大化させて敵にぶつける。その威力は出力最大だと大地に15m級のクレーターを作るほど。 勉強:A 運動:A 精神:C 器用:A スキル:文武両道 パワー:S ディフェンス:A スピード:D テクニック:C 戦闘タイプ:パワー重視型 金沢せいら/キュアディアー イメージCV宍戸留美 穏やかでおとなしく、お淑やかな性格で無益な争いや暴力を好まないが、戦う勇気は十分にあるため、戦うことは問題ない。 家は喫茶店。 身長155㎝ 名乗りは『純潔と不屈の無色の宝石! キュアディアー!』 武器は「ダイヤレイピア」 必殺技は「ダイヤコーリングカッター」(エネルギーで作った刃のついたソーサーを投げる技。自分の意志で飛ぶ方向をコントロールできる) 勉強:B 運動:D 精神:A 器用:C スキル:コーヒー・ティーマスター パワー:E ディフェンス:A スピード:A テクニック:A 戦闘タイプ:斬撃・刺撃型 評価 S:誰にも負けない A:得意 B:やや得意 C:普通・平均レベル D:やや劣る E:劣る F:誰にも負けない(悪い意味で) 妖精 妖精は16世紀にスペイン人が南米で目撃したという額に赤い宝石状の器官を持つUMA・カーバンクルで、宝石の妖精です。 3匹がプリキュアのメインサポート役で3匹は兄妹。 語尾は全員「〜キラ」。名前は宝石用語に由来。 モースとカラットは双子ということでお互いを名前で呼びあっている設定。 モース イメージCV斉賀みつき 長男。カラットの双子の兄で、シャトーの年上の兄。 正義感と責任感が強い性格で、シャトーによく懐かれているカラットをうらやましがっている。 年齢は人間換算で14歳程度。 一人称は「僕」。 名前は宝石の硬さを示す「モース硬度」から。 ストーリー本編
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美希ちゃんは、私のあこがれだった。 テンポが遅い私は、小さい頃男子によくからかわれ、 その度に、ラブちゃんと美希ちゃんがかばってくれた。 クラスでも一番の美人、しかもスポーツも万能な 美希ちゃんが一喝すると、男子はおとなしくなった。 美希ちゃんは、たまたま商店街に来ていた プロダクションの人に目をつけられ、雑誌に載ったら たちまち人気となり、モデルさんとして活躍を始めた。 私は応援する反面、美希ちゃんが遠くに行った ような感じがして、寂しかった。 美希ちゃんは今まで通り四つ葉町にいて、携帯も メールも知ってるし、呼んだらすぐに会えるのに。 その頃から、私は自分の気持ちの変化に気づいた。 ひとりの女の子として、美希ちゃんが好きだってこと。 美希ちゃんが私に笑いかけるたびに、 私の心はとても幸せになり、 美希ちゃんのフレグランスが香るたびに、 私の胸はドキドキと高鳴っていた。 でも、美希ちゃんは完璧なモデルさん。 芸能界に入って、かっこいい男の人と恋愛して どんどん磨かれていく人。 私なんかが想っていても、 邪魔なだけ。 それでも、ひょっとしたらって思ってた。 私が想い続ければ、その想いに 応えてくれるんじゃないかって。 みんなで誕生会したとき、私へのプレゼントに 美希ちゃんが選んでくれたハンカチ。 美希ちゃんがアロマに凝り出した頃、 私をイメージして作ってくれたフレグランス。 今でも使っている。 美希ちゃんがそばに居てくれる気がして。 さっき、学校の帰りに寄った占いコーナーで出た 「近く、すばらしい進展があります」という結果は 信憑性はともかく、何か嬉しかった。 美希ちゃんとも、進展するといいな。 「山吹さん」 後ろから声をかけられた。 御子柴君だった。 遊園地にみんなで行ってから、 ほとんど会っていなかった。 「今、帰りですか」 「うん、ちょっと寄り道しちゃった」 「先日はすみません。僕、何だか格好悪くて」 「ううん、人には苦手なものがあるし。 私こそ、苦手なものに付き合わせてごめんね」 「そうですか...よかった」 「私だって、動物病院の娘なのに、フェレットが苦手だったの」 「えっ?そうなんですか?」 「ふふっ、意外でしょ」 たわいもない会話が続く。 「あっ...」 私は、今日発売の雑誌を 買っていないことに気づいた。 「私、本屋さんに行かなきゃ。 こっちに曲がるから。バイバイ」 「はい。さようなら」 御子柴君と別れて、本屋さんで雑誌を買う。 ついでに色々立ち読みしていたので、 時間が経ってしまった。 家に帰る途中、公園のベンチに座る 美希ちゃんを見かけた。 考え事しているみたい。 私が近づいても、全然気づかない。 ふわっと、いい香りがする。 横に座り、美希ちゃんの横顔を眺める。 ようやく、美希ちゃんが私に気づいたみたい。 「どうしたの?美希ちゃん」 「ううん、ちょっと考え事していただけ。 ブッキーこそ、どうしたの?」 「恋占いしてもらった帰りなの」 「そう...で、どうだった?」 「近く、素晴らしい進展があります、って...」 「あの男の子と?」 「えっ...?」 「さっき一緒にいた男の子よ。 いいじゃない、お似合いで」 違うよ、全然違う。 「やっぱり恋愛は男女ですべきよ。 男同士とか女同士とか、おかしいわ。 それに、あの子優しそうじゃない。 祈里とはお似合いだと思うな。 付き合っちゃいなよ」 心に、穴があいた気がした。 私が美希ちゃんを想っていることは、 美希ちゃんに伝わってはいたみたい。 「やっぱり、そう思ってたんだ...」 失望が、口から出る。 「私は...ずっと...」 視界がにじむ。 あふれてくる寂しさを、抑えられない。 この場に居られず、走って公園を出た。 ずっと、 ずっと、 好きだった。 でも、美希ちゃんの答えは、 拒絶。 女同士なんて、あり得ない。 通りに出ても、涙が止まらなかった。 涙を拭くために取り出したハンカチ。 美希ちゃんがくれたハンカチ。 拭けば拭くほど、涙があふれる。 商店街のベンチで座り込む。 人が走ってくる音がした。 「ブッキー!どうしたの?」 肩を激しく揺すられる。 顔を上げると、ラブちゃんが 心配そうな顔で覗き込んでいた。 「ラブちゃん...私...」 ハンカチを見つめる。 また涙が出てきた。 「ブッキー、そのハンカチ...」 ラブちゃんの前でみっともないけど、 しばらく声を上げて泣いた。 家まで、ラブちゃんが送ってくれた。 泣くばかりで何も言えない私に、 ラブちゃんは何も聞かず、 黙って背中をさすってくれた。 握りしめたハンカチは、涙を拭く場所が 無いほど濡れてしまった。 夕ご飯も食べず、部屋にこもる。 机の上の写真。 ダンスレッスンの時に、3人で撮った。 めずらしく美希ちゃんの横に私が居る。 嬉しくて、ちょっと美希ちゃんに寄ったので 3人というより、2人と1人みたいな写り方。 写真立てを、パタンと倒した。 こういうときは、思いっきり泣いた方がいい。 雑誌にもよく書いてあるよね。 失恋したときの忘れ方。 アルバムを見ながら、 色々と思い出しては泣き、 明け方になって泣き疲れた頃、 ようやく眠った。 起きると、昼過ぎだった。 鏡を見ると、泣きはらした ひどい顔の私が居た。 外は霧雨が降っている。 心の中で、踏ん切りが付いた。 もう、あきらめよう。 美希ちゃんは、普通の幼なじみ。 何もなかったように、過ごそう。 ただ、美希ちゃんにはちゃんと伝えないと。 女の子に好かれて、迷惑だったろうから。 重い足取りで、家を出る。 霧雨が風景を霞ませている。 傘を差していても、雨が舞い込む。 商店街のひとつ手前の路地。 美希ちゃんの家の裏口が見える。 足取りはいっそう重くなる。 傘もささず、走ってくる人影があった。 私の前で止まる。 美希ちゃん...? でも、ちょうど良かった。 ここで気持ちを伝えて、帰ろう。 それで、今まで通りの、幼なじみ。 「美希ちゃん...ごめんね、今まで。 迷惑だったでしょ。 ずっと美希ちゃんのこと見ていたけど、 もう...あきらめるから、安心して。」 吹っ切ったつもりだったのに。 いざ美希ちゃんを目の前にすると、 枯れたと思っていた涙があふれる。 「今まで、好きでいさせてくれて...ありがとう」 ほとんど言葉になっていない。 来た道を、走って戻る。 後ろから、抱きすくめられた。 傘が、落ちた。 「行かないで、祈里!」 祈里と呼ばれて、体が硬直した。 「きのう言ったの、全部嘘! あの子とつきあって欲しくない!」 えっ... 「アタシ...祈里が好き...!」 頭が、混乱する。 美希ちゃんは、女同士って あり得ないって言ってた。 でも、私のこと好きって...。 同情? 私が、かわいそうだから? でも、美希ちゃん、 泣いてる...。 振り返る。 私を見つめている美希ちゃんの顔は、 いつも見るお姉さんじゃなくて、 ひとりの普通の女の子。 「祈里を、離したくない...!」 泣きながら、私を見つめている。 嘘じゃない。 同情なんかじゃない。 美希ちゃん、本気で私のこと...。 感情が、抑えきれない。 美希ちゃん。 私、もう我慢しなくていいんだよね。 美希ちゃん。 私、美希ちゃんを好きでいていいんだよね。 美希ちゃん。 美希ちゃん。 涙で、美希ちゃんの顔がかすんでいる。 抑えようとしても、嗚咽の声が漏れる。 私の頭を、美希ちゃんがしっかりと 胸に抱いてくれた。 私は、声を上げて泣いた。 美希ちゃんの涙が、私のほおに落ちる。 暖かい、しずく。 心が震えるような感覚が治まり、 顔をあげると、私と同じくらい 泣きはらした顔の美希ちゃんと 目があった。 霧雨の感覚が、急に感じられた。 「風邪...ひいちゃうよ」 美希ちゃんの家で、シャワーを借りる。 暖かいシャワーを浴びていると、 何か不思議な気持ちになる。 家を出るときはあんなに重く つらい気持ちだったのに、 今はとても安らいだ気持ちと、 これからのドキドキが混じった、 何とも言えない気持ち。 私の服を乾燥機にかけている間、 美希ちゃんの服を借りる。 私には大きいので、シャツだけ着る。 美希ちゃんがシャワーを浴び終えて、 部屋に入ってきた。 バスタオル一枚の姿を見て、 私は思わず下を向いた。 部屋にいい香りが拡がる。 甘く、心を落ち着かせる香り。 かすかにひそむ情熱的な香り。 「とってもいい香り...」 「大切な人と過ごすために、買っておいたの」 それって...私? 顔をあげると、美希ちゃんと目があった。 私だけを見てくれる、優しい瞳。 美希ちゃん... 自然に、目を閉じた。 唇が重なる。 心が、素直になる。 体が、素直になる。 ゆっくりと、ベッドに倒れ込んだ。 重なる肌。 ひとつになる吐息。 美希ちゃんで 満たされていく。 甘い香り。 幸せな時間。 何度も、昇りつめる。 ... 美希ちゃんでいっぱいになった私は、 訪れた眠気に、素直に身を任せた。 意識が戻ってきた。 急に、夢だったんじゃないかと 不安になる。 唇が触れる感触があり、目を開けた。 すぐ近くに、美希ちゃんの顔があった。 「ごめん、起こしちゃった?」 美希ちゃんがささやく。 夢じゃ、ない。 「ううん、こんな起こし方なら大歓迎」 今度は私から口づける。 私のおでこに、美希ちゃんのおでこが触れる。 「あらためて、これからもよろしくね、祈里」 「こちらこそ。美希ちゃん」 想い続けていて、良かった。 私が想っているのと同じくらい、 美希ちゃんも想ってくれたら、嬉しいな。 物語は3-610へ